※後半にネタバレ含む感想と考察あります。
こんにちは、みくろです。
先日、海外ドラマ『ゼム/Them』を観ました!
2021年公開、Amazonオリジナル作品。
1シーズンで全10話です。
ジャンルはホラーで、人種差別の恐ろしさ、生きている人間の惨さ、心霊現象の怖さ、それらが全て詰まっています。
たまたま目について何気なく観始めたんですが、凄まじい展開の連続で目が離せなくなりました…!
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1950年代、アメリカでは南部の黒人差別から逃れるために北部へ移動する「黒人の大移動」が行われていた。
父・母・娘2人のエモリー一家もその流れに乗って、父親の転職を機にカリフォルニア州にあるイースト・コンプトンへ引っ越してくる。
南部と比べて差別が少ないとされるコンプトンであったが、黒人家族はエモリー家のみ、白人たちからの鋭い視線で全く歓迎されていない事は明らかであった。
次の日から、通りで、職場で、学校で、エモリー家に対する執拗な嫌がらせが始まる…。
正直目を覆いたくなるようなシーンも多く、恐怖以外にもいろいろな感情が湧いてきます。
黒人差別が主体ですが、女性差別、同性愛差別、あらゆる社会的な問題を直視させられてかなりエグいし胸糞です。
なので成人向けなのはもちろん、精神的に弱っている方や暴力や虐待表現が苦手な人は観ない方がいいと思います。
ただ、ホラーとしても社会風刺としてもあらゆる点で非常に素晴らしいドラマだったと思うので、そういう表現が大丈夫な方には是非是非オススメしたい作品。
でも本当にバイオレンスなので注意!(;'∀')
第1話はこちら↓
ネタバレあり感想・考察
※以下、ネタバレ含みます。
超常現象は別として、実際にこういった差別が横行していたんだという事実がただただショック。
日本にいるとなかなか実感しにくいけど、これが何百年も昔の話じゃなく、このドラマの時代も70年前ぐらいなんですよね。
今でも人種差別はあるし、これからも0にはならないと思うけど、それでも今の世界があるのはこの時代に苦しい思いをしながら立ち向かった方々がいたからなんだと思いました。
最後は賛否両論かな?エモリー家がどうなかったか描かれなかったのは個人的には良かったと思います。
というのも、描かれていたとしてもバッドエンドだったと思うんですよね。
ドラマの結末として土地の呪いや元凶は絶てたと思うけど、コンプトンの住人は生きている人間で差別意識が消えたわけではないし、これは勝手な考察だけど、おそらくあの後(少なくとも父親は)射殺されたと思います。
仮にエモリー家が白人に復讐を果たしたとしても、それはドラマとして鑑賞者がスカッとするだけの話で何の解決にもならないし、この作品が伝えたい事からは外れてしまうんじゃないでしょうか。
ただ、我々鑑賞者はその先の未来を生きているわけで、エモリー家のような方々の苦しみが無駄に終わらなかったという事実を知っていますからね。
アイドロンによる呪いに関してはしっかり完結させられたので、ドラマとして描かないといけない部分はしっかり描かれていたかなと…それ以外の部分は歴史が答えですよね。
個人的にはエピソード7でルビーが肌をペンキで塗ってチアしたシーンが一番苦しかった…大人はもちろんだけど、子ども達が本当にかわいそうでした…。
悪役として描かれているベティも、人種差別という点を除いたら間違いなく弱者で被害者であるところも作品の裏テーマだったと思います。
彼女側の視点で見てもこの世は地獄でしかなく、更に自分より弱い立場の人を苦しめて安心感を得る、これが差別の一番怖い悪循環。
正直観ている最中はめちゃくちゃ胸糞です(笑)
でもホラーとしても社会風刺としてもかなり意欲的な作品なので、少しでも気になった方は是非観てみて下さい。