こんにちは、みくろです。
先日、映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』を観ました!
待ちに待っていた、あのウェス・アンダーソン監督の新作…!
アカデミー賞で多数受賞・ノミネートされた『グランド・ブダペスト・ホテル』に感銘を受けて以来(私が全映画で一番好きな作品)、『ダージリン急行』や『ムーンライズ・キングダム』など、本当にこの監督の映画が好きで好きで…!
先に書くと、今作も非常に良かったです!!!!
--------------------------------------
『ザ・フレンチ・ディスパッチ』は、アメリカ中西部の新聞『ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン』の別冊雑誌であり、編集部はフランスのアンニュイ=シュール=ブラゼにあった。
1925年創刊以来たくさんの読者がいる人気雑誌であったが、創刊者であり編集長のハウイッツァーが急死したことにより、彼の遺言に従って廃刊することが決まる。
現在編集しているものを最終号とし、アンニュイの町を紹介する1つのレポートと、そこで巻き起こった事件に関わるジャーナリスト達3人の物語が掲載された。
『ザ・フレンチ・ディスパッチ』という架空の雑誌の最終号を映像として読んでいき、書き手であるジャーナリスト達と編集長の物語も垣間見るヒューマンドラマ。
ジャーナリズムとは何か?
コミカルなミュージカルを観ているようで、それぞれの物語に奥深いテーマがあり、本当に雑誌を読んでページをめくっているような圧倒的な映像美が本当に素晴らしい。
ウェス・アンダーソンの世界観が好きな方は間違いなく今作も刺さると思います。
初めて観るという方も、このような撮り方をする監督さんは他にいないと思うので、唯一無二の映画体験をしたい人には絶対にオススメです!
ネタバレあり感想・考察
※以下、ネタバレ含みます。
今作も感無量でした( ˘ω˘ )
観終わった時の満足感というか、良いものを観たぞー!という感じ、ウェス・アンダーソン監督の映画は本当に大好きです。
最初の「自転車レポート」はただただサゼラック記者役のオーウェン・ウィルソンが面白いんですけど(笑)、アンニュイとはどのような町か?名前の通り何だか気だるげで、不潔で、でもなぜか人々の生を感じる魅力があって、いっきに引き込まれました。
そこから全く異なる3つの物語が展開していくんですが、基本的に書き手であるジャーナリストがその時何を思っていたか?何を伝えたいか?詳しくは分からないようになっています。
その時の印象ぐらいは言葉にしてくれているんだけど、淡々と起こった出来事を伝えていて、ジャーナリズムとして過度に偏った見方にならないよう進んでいく。
でも言葉の一つ一つから(鑑賞者は映像として見ることもできるし)伝わってくるというか、多くを語らず事実を伝えるだけでも真意が読み取れるものがウェス・アンダーソン監督にとってのジャーナリズムなのかな?と思いました。
それぞれの話の真実は「天才画家の囚人が描いた絵がコンクリートごと移設された」「学生運動のリーダーが亡くなった」「美食家の警察署長の息子が誘拐されてシェフが救った」なんだけど、実際にジャーナリスト達が書きたいところはそこじゃないですよね。
最後の話でシェフの言葉は事件と関係ないからと省こうとしたのを編集長が止めたけど、そこを省かないところがこの『ザ・フレンチ・ディスパッチ』のジャーナリズムなんだと。
それを小説とか論評で実際に文章で伝えるなら分かるけど、映画で伝えたというところがウェス・アンダーソン監督のすごいところだと思います。
うーん、もう1回観よう!最高でした。